vol.64「日本企業も取引先の人権侵害の調査を強化」
vol.64「日本企業も取引先の人権侵害の調査を強化」
【今週のトピックス】
「強制労働などの人権侵害がサプライチェーン上でないか、日本企業が取
引先の調査を強化する。花王は化粧品や洗剤に用いるパーム油原料の農園
数百万カ所を調べてシステム上で管理するほか、塩野義製薬も製薬材料な
どの生産現場の調査を年内に始める。」
出所)「調達網の人権侵害排除」『日本経済新聞』2021年8月13日、電子
版(https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210813&ng=DGKKZO74741900T10C21A8MM8000
閲覧日:2022年1月5日)
ブランドイメージに敏感な欧米のグローバルブランド企業で進んでいたサ
プライチェーンにおける人権侵害の排除の動きが日本企業にも広がってい
ます。記事ではブランドイメージに敏感なBtoCの大手日本企業の事例ばか
りですが、サプライチェーンはつながっていますので、こうした動きが広
がればBtoBの中小企業であっても対応せざるを得ないでしょう。
貴社サプライチェーンから人権侵害を排除していくには、以下の取組が有
効です。
1. サプライチェーンを可能な限り短くする
自社で管理できるのは直接の取引先が中心です。間に中間流通が入り、サ
プライチェーンが長くなればなる程、サプライヤの実態把握が困難となり、
管理が難しくなります。コスト・リスクマネジメント面からもサプライチェー
ンは可能な限り短くすべきです。
2. 人権尊重を取引の前提として取引基本契約に織り込む
人権尊重を取引の前提とし、それを取引基本契約に明記します。取引先の
人権侵害が発覚した場合には、取引を解消する権利を貴社が有する事も記
載するのが良いでしょう。
3. サプライヤ監査の実施
必要に応じてサプライヤ監査を実施します。本当に貴社サプライチェーン
から人権侵害を排除したいのであれば、二次三次等その先々のサプライヤ
の管理も含めて貴社のリソース・コスト負担で行う必要があります。サプ
ライヤは会社毎にそれぞれの考えもありますから、すべてのサプライヤが
サプライチェーンからの人権排除に協力的、そのコスト負担をするとは限
りません。ですので、貴社のリソース・コスト負担でこうした活動は行う
必要があります。監査ノウハウや海外サプライヤ対応等で監査リソースが
不足している場合には、サプライヤ監査機関を起用する手もあります。
2022.3.4