logo

ナレッジ

vol.162「サプライチェーンのデカップリングじわり」

週刊 戦略調達
  【今週のトピックス】  「日米韓や欧州で中国への貿易依存度が下がっている。2023年までの5年間で中国貿易に占める各国の比率は0.1~2.5ポイント下落した。米商務省が7日発表した昨年の貿易統計によると、米国の輸入相手で中国は17年ぶりに首位から外れた。(中略) 20カ国・地域(G2 ...
当社は支出管理(スペンドマネジメント)・戦略調達(ストラテジックソーシング)・最適購買を支援するソリューション群ならびにこれら業務のマネジメントノウハウと中国・アジア・米国・欧州・中南米をカバーするグローバルソーシングネットワークとを基に1)支出管理並びに調達購買マネジメントのアウトソーシング 2)支出管理・調達購買関連システム導入 3)貴社のグローバル最適購買実現などの支出管理・調達・購買・SCMに関わるプロフェッショナルマネジメントサービスを提供しています。それらのサービスを通じて貴社の「最善の支出管理・調達・購買」を実現することにより、調達購買コスト・物流費用・経費の削減や外部支出ならびにサプライチェーンマネジメントに対する効果の最大化による貴社の競争 ...

vol.162「サプライチェーンのデカップリングじわり」

 

【今週のトピックス】

 
「日米韓や欧州で中国への貿易依存度が下がっている。2023年までの5年
間で中国貿易に占める各国の比率は0.1~2.5ポイント下落した。米商務省
が7日発表した昨年の貿易統計によると、米国の輸入相手で中国は17年ぶ
りに首位から外れた。(中略)


20カ国・地域(G20)を対象に各国・地域の統計を使って主な貿易相手国
の変遷などを調べた。


中国からみた日米韓、欧州連合(EU)との貿易総額の合計は2兆ドル(300兆
円弱)に上る。シェアは全体の35%を占めている。


中国にとって最大の貿易相手国である米国の輸入相手国をみると、メキシ
コが中国に代わって首位となった。電化製品などの調達先が中国から他国
に移った。23年1~11月ではスマートフォンは中国産が1割減り、インド産
が5倍に増えた。ノートパソコンも中国からは3割減り、ベトナムからが4
倍に増えた。


日韓は中国向けの輸出シェアが下がった。日本は4年ぶりに米国向け輸出
が最大となり、中国向けを超えた。韓国の輸出先も23年12月単月で20年ぶ
りに米中が逆転した。


米国はトランプ前政権が対中制裁関税を導入した。大部分を引き継いだバ
イデン政権は友好国との間でサプライチェーン(供給網)を完結する「フ
レンドショアリング」を進めてきた。


蜜月関係が続いてきた欧州でも、中国離れが広がり始めた。23年1~11月
の英国の輸入相手国をみると、中国はトップから3位に後退した。英国立
経済社会研究所のシニアエコノミスト、ベンジャミン・キャスウェル氏は
『欧米と中国の関係が冷え込み、企業が供給網を中国から遠ざけようとし
ている』と分析する。


ドイツは23年の対中輸入が前年比で13%減った。ショルツ政権は対中融和
路線の修正を進めており、24年は高成長を保つ米国が中国を抜き貿易相手
の首位となる勢いだ。」
出所)「日米韓が貿易で中国離れ 米の輸入相手、17年ぶり首位転落」
『日本経済新聞』2024年2月8日 (https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20240208&ng=DGKKZO78320550Y4A200C2MM8000
閲覧日:2024年3月20日)


米中の対立激化に伴い、米欧日等の民主主義国家を中心とするサプライチェー
ンと中国等の覇権主義国家を中心とするそれとのデカップリングが提唱さ
れてきました。それに対して、各社の中国への調達依存度が高く、デカッ
プリングは困難と言われてきましたが、各社の動向が実際の数字として表
れるレベルになってきている様です。


弊社も中国市場ならびにサプライ拠点としての中国の重要性は認識してお
り、サプライチェーンからの中国の完全排除を提唱するものではありませ
ん。民主主義国家を中心とする市場向けと中国等の覇権主義国家を中心と
する市場向けとの二つのサプライチェーンを構築し、地政学リスクを回避
する事を提唱しています。


今回の統計数字にはそうした地政学リスクに実際に備えたサプライチェー
ンを構築すべく動いている企業が少なくない事を示していると考えます。


2024.3.22

©2024 Samurai Sourcing, Inc.  All rights reserved.