vol.158「調達DXが進まないただ一つの真因」
vol.158「調達DXが進まないただ一つの真因」
【今週のトピックス】
年商500億円以上の日本の製造業を対象にした調査で調達DXから「期待通
りの成果が出ている」と回答した企業は1割にも至りませんでした。今回
はその調査を基になぜ調達購買部門でDXが進まないのかを考えます。
この調査で調達DXから期待通りの成果が出ていると回答した人は71人中7人
で1割に未満にとどまっています。71人中、調達DXを導入済み(運用段階)
と回答した人は9人で、そもそも調達DXの導入が進んでいない事が伺えま
す。導入が進まない事には期待している成果は出ません。
調査では調達DXを進める上で難しい/課題と感じていることを複数回答可
で聞いており、調達DX推進上の主な課題として
「専門的な技術者や人材がいない(39人/55%)」
「費用対効果が示せない(26人/37%)」
「人手が足りない/時間が割けない(18人/25%)」
「他部門/他部署との連携ができていない(18人/25%)」
「予算の確保ができない(16人/23%)」
といった項目が挙げられています。
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これらの回答からは調達DX推進上の主な課題の一つとして調達DXを社内の
みで進めようとしており、PJ予算承認の取り付けも含めた調達DXの進め方
が分からないというのが主なポイントの様に伺えます。日本では購買管理
領域のシステム化はかなり早くから進んでいますが、調達領域のDXは多く
の企業で手つかずです。そのため、調達領域へのシステム導入を進めた経
験のある方が社内におらず、社内では調達DXを進める知見に乏しい事と考
えられます。
また、こちらは本調査からではなく、弊社が調達購買業務の改善を支援し
てきた経験から感じている事ですが、調達DXの様な改革を進めるには調達
購買部門内に自社の調達購買業務のレベルを更に引き上げたいと考えるリー
ダーが必要です。リーダーの職位は高ければ高いほど良いのですが、調達
購買部門長でなく若手であっても構いません。今回の調査結果の様なPJ予
算承認の取り付けも含めた調達DXの進め方といった技術的な事は外部から
の支援が可能です。但し、そうした支援の予算も含めたPJ予算の取り付け
にはリーダーが熱意を以って社内を動かさない事には為しえません。
参考)株式会社 日立製作所 マネージドサービス事業部「調達のDX化に
向けた取り組み調査結果レポート」2023年9月
2024.2.16