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vol.139 2023.9.15「ジャニー喜多川氏の性加害についてのジャニーズ事務所の記者会見を見た調達購買担当者がやるべき事」

週刊 戦略調達
  【今週のトピックス】   ジャニーズ事務所は記者会見を開き、創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害があった事を認めました。これを受けて、ジャニーズ事務所の所属タレントを広告宣伝に起用している企業の中からその起用を取り止める企業が出てきています。 アサヒグループホールディングスは「今 ...
当社は支出管理(スペンドマネジメント)・戦略調達(ストラテジックソーシング)・最適購買を支援するソリューション群ならびにこれら業務のマネジメントノウハウと中国・アジア・米国・欧州・中南米をカバーするグローバルソーシングネットワークとを基に1)支出管理並びに調達購買マネジメントのアウトソーシング 2)支出管理・調達購買関連システム導入 3)貴社のグローバル最適購買実現などの支出管理・調達・購買・SCMに関わるプロフェッショナルマネジメントサービスを提供しています。それらのサービスを通じて貴社の「最善の支出管理・調達・購買」を実現することにより、調達購買コスト・物流費用・経費の削減や外部支出ならびにサプライチェーンマネジメントに対する効果の最大化による貴社の競争 ...

vol.139 2023.9.15「ジャニー喜多川氏の性加害についてのジャニーズ事務所の記者会見を見た調達購買担当者がやるべき事」

 

【今週のトピックス】

 

ジャニーズ事務所は記者会見を開き、創業者の故ジャニー喜多川氏による
性加害があった事を認めました。これを受けて、ジャニーズ事務所の所属
タレントを広告宣伝に起用している企業の中からその起用を取り止める企
業が出てきています。


アサヒグループホールディングスは「今後、ジャニーズ事務所のタレント
を起用した広告や新たな販促は展開しない」との方針を示しました。現時
点の契約は満了後の更新をしないとの事です。また、契約が残っていても、
それらのタレントが出演する広告宣伝の取り下げに着手するとの事です。


キリンHDは現契約満了後はそれらの契約の更新はせず、今後は同事務所の
タレントの起用を見送るとの事です。日本航空も同事務所の所属タレント
の広告起用の見送りを表明しました。


一方でCMを継続する企業もあります。住友金属鉱山や不二家は現時点では
同事務所の所属タレントの起用を継続する方針です。


今回のケースは自分とは関わりの無い芸能界の事であったり、人権侵害で
あったりする事から調達購買と無関係に思えるかもしれませんが、事象と
しては、サプライヤの不祥事であり、サプライヤ管理・サプライリスクマ
ネジメントの観点から、マーケティング関連支出の調達購買担当が率先し
て対応にあたるべきものです。


こうしたサプライヤの不祥事が明らかになった時に調達購買担当者が考え
なければならないのは、
■既存の取引を継続するのか否か
■今後もこのサプライヤとの取引を継続するのか否か
です。


その際には、品質事故の場合には品質管理部門に事故の深刻度・影響範囲・
事故への対応・恒久対策等についてのインプットを得る様に、今回の人権
侵害の場合には、ESG経営担当や広報・マーケティング部門より同様のイ
ンプットが必要となります。既契約の解除を考える場合には法務部門のイ
ンプットも必要となります。


こうした事故・リスク事象はある程度想定がつきますので、起こりうる事
故やリスクを整理・分類し、それらが顕在化した時にそれぞれの事故・リ
スクについてどの様な場で対処するか決めておくと実際に事が起こった時
の対応がスムーズです。


過去はこうした企業イメージに関わる問題は大企業だけが考えていれば良
かったのでしょうが、昨今はサプライチェーン全体での管理の徹底が求め
られており、企業イメージや人権尊重を大切に考えている企業のサプライ
チェーンに組み込まれている企業であれば、企業規模を問わずにこうした
サプライヤの不祥事を適切に管理できなければなりません。


今回のケースで各社が厳しい対応を取る背景にはESG経営を求める声が高
まる中で、貴社のみならず貴社のサプライチェーンすべてにおいて人権尊
重を推進していく事が課題の一つとなっている事があります。


それでも同事務所との取引を続ける企業もあるのは、今回の性加害が起用
しているタレントが犯したものではなく、また、喜多川氏の個人的な行為
であり、同事務所の組織的なものでない事である点を考慮しての事でしょ
う。


筆者はどちらの判断もあると考えます。大切なのは、貴社の人権尊重の考
え方に照らし合わせてジャニー喜多川氏の行為やジャニーズ事務所の対応・
再発防止策を評価し、貴社の価値観に基づいて判断を下す事です。今回の
ケースでは取引を停止する・継続するのどちらの判断もありうるため、反
対の考えを持つ者から貴社の決定について批評が浴びせられる可能性があ
ります。自社の価値観に基づいてしっかりと検討し判断していれば、そう
した批評に対しても自信を持って反論できるでしょう。


2023.9.15

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