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vol.118「調達購買担当者のやりがいを失わせる経営者・上司の行動」

週刊 戦略調達
  【今週のトピックス】 ITスキル研究フォーラムの調査によると「やりがいを感じていないIT技術者は全体の3割にも上る。」との事。その要因分析の結果は調達購買担当者のやりがいにもつながると考えますのでご紹介します。出所)木本 将徳、高橋 範光、鈴木 重央、池田 拓史、山之下 拓仁、神田 武、板谷 成 ...
当社は支出管理(スペンドマネジメント)・戦略調達(ストラテジックソーシング)・最適購買を支援するソリューション群ならびにこれら業務のマネジメントノウハウと中国・アジア・米国・欧州・中南米をカバーするグローバルソーシングネットワークとを基に1)支出管理並びに調達購買マネジメントのアウトソーシング 2)支出管理・調達購買関連システム導入 3)貴社のグローバル最適購買実現などの支出管理・調達・購買・SCMに関わるプロフェッショナルマネジメントサービスを提供しています。それらのサービスを通じて貴社の「最善の支出管理・調達・購買」を実現することにより、調達購買コスト・物流費用・経費の削減や外部支出ならびにサプライチェーンマネジメントに対する効果の最大化による貴社の競争 ...

vol.118「調達購買担当者のやりがいを失わせる経営者・上司の行動」

 

【今週のトピックス】


ITスキル研究フォーラムの調査によると「やりがいを感じていないIT技術
者は全体の3割にも上る。」との事。その要因分析の結果は調達購買担当
者のやりがいにもつながると考えますのでご紹介します。
出所)木本 将徳、高橋 範光、鈴木 重央、池田 拓史、山之下 拓仁、神
田 武、板谷 成祥、福田 竜太、本釡 大三=ITスキル研究フォーラム著
「調査でわかった、経営層・管理職のDX通信簿:経営層や上司の『その行
動』が、IT技術者のやりがいを失わせる」 『日経クロステック』2023年
3月24日(https://active.nikkeibp.co.jp/atcl/act/19/00458/022200002/
閲覧日:2022年9月14日)


本調査によりますと「IT技術者のやりがいに最も大きく関わっているのは、
自身が描くキャリアの実現と現在の業務との関連性であることが分かった。
また、アイデアを提案するための十分な機会や、成長できる機会も大きな
要因である。」との事です。


筆者の様にサプライチェーンマネジメントのダイナミックさに惹かれ、そ
れを担う調達購買業務をキャリアとして選ぶ人間は稀で、望んで調達購買
業務をキャリアとして選択する方は少ないかもしれません。実際には調達
購買業務はサプライチェーンをデザイン・マネジメントする職なので、マ
ネジメント職につながる様々なスキル・知識・経験を培う事ができるポジ
ションです。アップルCEOのTim Cook氏の様に調達購買領域で大きな成果
を上げ、アップルの様なグローバル大企業のCEOとなった人物もいます。
経営者・調達購買部門マネジメント職の方々は調達購買領域でどの様なキャ
リアが描けるかを、望まずに調達購買部門に配置された人材には特に、明
示する必要があります。

 
アイデアの提案・成長できる機会については、調達業務では単品ではなく
品目カテゴリーのマネジメントや難易度の高い案件に従事する事で、調達
戦略を考えたり成長できる機会が得られます。購買業務ではトラブル対応
やそもそもトラブルを起こさない様にサプライヤのQDMの改善を促す業務
等に従事する事で自ら考え成長する機会が得られます。調達購買部門マネ
ジメント職の方々はそうした機会を積極的に担当者にアサインする事が求
められます。


調査では「『DX経営満足度』と『上司満足度』もIT技術者のやりがいを左
右する重要な要素であるとの結果も出た。両者を比較すると、やりがいと
の相関はDX経営満足度の方が大きい。DX経営満足度が1段階上昇すると、
やりがいを感じる人のオッズ比は2.5倍程度増える。IT技術者のやりがい
の問題は、上司の問題以上にDXに取り組む経営者の問題と言える。」との
結果が出ています。


これは調達購買担当者にとっては自社の経営者がサプライチェーンの高度
化にどれだけ積極的に取り組んでいるかという事にあたるでしょう。日本
の大企業のサラリーマン経営者の中には自身の出身業務領域のみに関心を
示し、それ以外は関心が無いという方も見受けられます。サプライチェー
ンを巡っては米中対立激化・天災等による供給途絶リスクの増加・ESG経
営対応等の課題が山積しており、経営者の方々はそうした課題への取組を
進める必要があります。


IT技術者のやりがいに影響を与える上司の行動については最も重要なもの
が「部門やチームの目指す方向性を明確に示すこと」、次に「嘘をつかな
い」「ハラスメントをしない」等の「ビジネス倫理の順守」、3番目に
「知的好奇心」が挙げられています。「ビジネス倫理の順守」は当然の事
として、最重要の「部門やチームの目指す方向性を明確に示すこと」につ
いても、外向けにHPに掲載する調達方針ではなく、5年後の調達購買部門
がどうなっているかを自らの言葉で語る調達購買部門責任者の方に筆者は
あまりお目に掛かる機会が無いのが気になります。また、調達環境は先の
サプライチェーンを巡る課題に加え、買い手企業優位から買い手企業とサ
プライヤは対等ないしはカテゴリーによってはサプライヤ優位に一気に変
わっています。調達購買領域のIT技術もかなり進んできていますが、それ
らの活用を検討している企業はまだまだ極一部の様に感じられます。


本調査を踏まえ、部下の調達購買担当者にやりがいをもたせるには、上司
である調達購買部門責任者・マネージャーが自らのビジョンを示す事と全
般的なものと各担当者の担当材カテゴリーにおけるサプライチェーン・調
達購買業務の環境変化と技術動向に知的好奇心を発揮する必要があると考
えます。


2023.4.7

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