logo

ナレッジ

vol.108「日本製鉄/ 国内建設用鋼材の価格改定を3カ月毎に短縮」

週刊 戦略調達
  【今週のトピックス】 「日本製鉄は国内の建設用鋼材の販売価格を3カ月ごとに見直す。従来より2カ月短くする。ロシアのウクライナ侵攻による供給不安などで原料価格の乱高下が激しいためだ。生コンクリート会社でも原料高を販価に反映しやすくしようとする動きがある。高層ビルなどの大型物件は工期が長く、一度価格 ...
当社は支出管理(スペンドマネジメント)・戦略調達(ストラテジックソーシング)・最適購買を支援するソリューション群ならびにこれら業務のマネジメントノウハウと中国・アジア・米国・欧州・中南米をカバーするグローバルソーシングネットワークとを基に1)支出管理並びに調達購買マネジメントのアウトソーシング 2)支出管理・調達購買関連システム導入 3)貴社のグローバル最適購買実現などの支出管理・調達・購買・SCMに関わるプロフェッショナルマネジメントサービスを提供しています。それらのサービスを通じて貴社の「最善の支出管理・調達・購買」を実現することにより、調達購買コスト・物流費用・経費の削減や外部支出ならびにサプライチェーンマネジメントに対する効果の最大化による貴社の競争 ...

vol.108「日本製鉄/ 国内建設用鋼材の価格改定を3カ月毎に短縮」

 

【今週のトピックス】


「日本製鉄は国内の建設用鋼材の販売価格を3カ月ごとに見直す。従来よ
り2カ月短くする。ロシアのウクライナ侵攻による供給不安などで原料価
格の乱高下が激しいためだ。生コンクリート会社でも原料高を販価に反
映しやすくしようとする動きがある。高層ビルなどの大型物件は工期が
長く、一度価格を決めると基本的には途中で変えられない。こうした建
設業界との取引慣行が変わる可能性がある。」
出所)「日本製鉄、値決め間隔短縮 建設資材で慣行見直し拡大」『日
本経済新聞』2023年1月6日電子版 (https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB07DRY0X01C22A2000000/
閲覧日:2023年1月24日)


工事関連に限らず、特に買い手企業側が強く望んできた事もあり、これ
までの日本の企業間取引では長期的に価格が一定である事が好まれてき
ました。新規の見積の場合には提示後一カ月後迄等の具体的な見積有効
期限が記載されている事もありますが、既存取引の見積においては見積
有効期限に次回価格改定迄と記載され実際の期限がいつなのか定かでな
いものが多く見られます。契約書の中にも価格改定について触れられて
いないものが多く、例え、触れられていたとしても、急激な経済環境等
の変化によって価格が不相当になった時にはその価格をお互いの協議に
より見直す事ができるといった旨の曖昧な文言となっており、急激な経
済環境等の変化というのはコストで言うと5%なのか、10%なのか、30%な
のか定かではありません。実際に10%程度のコスト上昇要因を理由とし
たサプライヤからの値上げの申し入れがあれば、買い手企業はこれは一
時的なもの、或いは10%程度であれば急激な経済環境の変化とは言えな
いといった回答で時間稼ぎをしている内に、本当にそのコスト上昇が収
まり元のコスト水準に戻り、価格を改定せずに済むといった事が多々あ
りました。


しかしながら、近年では投機マネーの流入もあり為替や各種コモディティ
の価格変動幅が大きくなっています。加えて、実需に基づく製品市場で
あっても、コロナ禍といった供給制約が生じた事もあり、様々な材での
価格変動幅が大きくなっています。さすがにこの様な状況では日本のサ
プライヤであってもこれまでの様に企業努力で値上げを抑制するという
のには限界があり、昨年来の値上げラッシュとなっている訳ですが、こ
うした傾向は一時的ではないとサプライヤ各社は考えており、今回の日
本製鉄の様に、長期的に価格をコミットしなければいけない取引は避け
るべく動き始めています。


確かに現在は価格上昇基調のため、買い手企業としてはこうした動きは
避けたいと考えるかもしれませんが、それほど忌避すべき話ではないと
考えます。長期に価格を固定する取引にはその間のコスト変動に耐えう
るべく真っ当なサプライヤであれば必ずリスクプレミアムを載せていま
す。ですので、コストの変動に合わせて取引価格を上下させられる取引
とした方がそのリスクプレミアムが除かれ、より適正な価格で取引でき
る可能性が高まると考えられます。貴社におかれましてもこうした情勢
をより適正な価格での取引を構築する機会に転じていってはいかがでし
ょう。


2023.1.27

©2024 Samurai Sourcing, Inc.  All rights reserved.