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vol.88「海外サプライヤの日本離れへの対処が必要」

週刊 戦略調達
  【今週のトピックス】   「新型コロナウイルス禍で日本の港湾競争力低下に拍車がかかっている。海上物流の混乱が長期化する中、海運会社は貨物量の少ない日本への寄港に後ろ向きで、国内主要港へのコンテナ船の寄港隻数は2021年に00年以降で最低を記録した。米国の主要港への直行便が減る中、荷主 ...
当社は支出管理(スペンドマネジメント)・戦略調達(ストラテジックソーシング)・最適購買を支援するソリューション群ならびにこれら業務のマネジメントノウハウと中国・アジア・米国・欧州・中南米をカバーするグローバルソーシングネットワークとを基に1)支出管理並びに調達購買マネジメントのアウトソーシング 2)支出管理・調達購買関連システム導入 3)貴社のグローバル最適購買実現などの支出管理・調達・購買・SCMに関わるプロフェッショナルマネジメントサービスを提供しています。それらのサービスを通じて貴社の「最善の支出管理・調達・購買」を実現することにより、調達購買コスト・物流費用・経費の削減や外部支出ならびにサプライチェーンマネジメントに対する効果の最大化による貴社の競争 ...

vol.88「海外サプライヤの日本離れへの対処が必要」

 

【今週のトピックス】

 

「新型コロナウイルス禍で日本の港湾競争力低下に拍車がかかっている。
海上物流の混乱が長期化する中、海運会社は貨物量の少ない日本への寄港
に後ろ向きで、国内主要港へのコンテナ船の寄港隻数は2021年に00年以
降で最低を記録した。米国の主要港への直行便が減る中、荷主は韓国など
国際ハブ港経由での輸送に切り替えざるを得なくなり、輸送日数の予想が
難しくなるといった問題も浮上している。」
出所)「日本、港湾の競争力低下」『日本経済新聞』2022年8月28日朝刊
2面


別の形で弊社が肌身で感じている事を示している記事だったため、今回採
り上げました。それは日本の市場としての魅力の低下です。弊社ではグロー
バル調達代行やシステム導入で海外のモノ・システム・サービスを日本に
入れていますが、言葉の壁や規制・商習慣等で日本だけで閉ざされた市場
となっており、かなり苦労しています。世界3番目の市場であり、参入し
たければ相応の努力をしろという言い分があるのは理解できます。


しかしながら、サプライヤも顧客・市場を選べるという考え方に欠けてい
ると感じます。確かに国として日本はある程度の規模がありますが、市場
は国単位でなく、複数の国々の面で捉えられるものが多く、それらの方が
日本市場よりもはるかに大きかったりします。ある程度の市場規模がある
にしても、日本市場での販売に掛かる手間や時間を考えると、そちらの市
場を優先し日本市場を敬遠するサプライヤが出てきているのも事実です。


本記事中では海運会社の日本離れで日本発の海外市場への直行便が減少、
それに伴い輸送リードタイムが長期化し、輸出拠点としての日本の魅力の
低下、海運会社の更なる日本離れという負のサイクルに陥る懸念が指摘さ
れています。また、多くの市場は人口に市場規模が比例しますので、この
まま少子化・移民非受入が続けば様々な材での市場の縮小・日本の魅力の
低下が続くでしょう。


海外サプライヤの日本離れに対処するには、まず日本政府に規制を日本独
自の規格ではなく国際規格に基づくものにする・移民政策の推進といった
対応を求めたい所ですが、これらはそうそうすぐには進まないでしょう。
各企業が自社の裁量の範囲で仕様を海外市場に合わせ門戸を開放する努力
が必要です。そうする事により、グローバルのより厳しい競争に晒された
優れたサプライヤを自社のサプライチェーンに組み込み、競争力を高める
事ができます。


企業としてのもう一つの方策は販売市場を海外に求める事です。大企業で
もまだまだ売上の多くが日本市場という所が多くあります。海外売上が多
少あっても、その多くが輸出が中心という所が少なくありません。サプラ
イチェーンの競争力を高める並びにリスクマネジメントの観点から、でき
る限り需要地の近くで生産するのが主流となっています。日本離れを進め
る事となりますが、自社を守るには必要な事と考えます。


2022.9.2

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