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vol.155「調達購買業務でのAI活用はこう進む!」

週刊 戦略調達
  【今週のトピックス】  調達購買業務の事例ではありませんが、AIの業務での活用が進んでいます。これらの事例を基にAIの調達購買業務への適用を考えます。 「顧客の問い合わせに対応するコールセンター業界で、生成AI(人工知能)の導入が急速に進んでいる。大手13社中12社がオペレーターの支 ...
当社は支出管理(スペンドマネジメント)・戦略調達(ストラテジックソーシング)・最適購買を支援するソリューション群ならびにこれら業務のマネジメントノウハウと中国・アジア・米国・欧州・中南米をカバーするグローバルソーシングネットワークとを基に1)支出管理並びに調達購買マネジメントのアウトソーシング 2)支出管理・調達購買関連システム導入 3)貴社のグローバル最適購買実現などの支出管理・調達・購買・SCMに関わるプロフェッショナルマネジメントサービスを提供しています。それらのサービスを通じて貴社の「最善の支出管理・調達・購買」を実現することにより、調達購買コスト・物流費用・経費の削減や外部支出ならびにサプライチェーンマネジメントに対する効果の最大化による貴社の競争 ...

vol.155「調達購買業務でのAI活用はこう進む!」

 

【今週のトピックス】

 
調達購買業務の事例ではありませんが、AIの業務での活用が進んでいます。
これらの事例を基にAIの調達購買業務への適用を考えます。


「顧客の問い合わせに対応するコールセンター業界で、生成AI(人工知能)
の導入が急速に進んでいる。大手13社中12社がオペレーターの支援や通話
内容の要約などに活用し、平均5割の業務時間削減効果を見込んでいるこ
とがわかった。人手不足の解消につなげ、データ分析など付加価値の高い
事業領域へのシフトを狙っている。(中略)


日本経済新聞は2023年12月中旬に国内のコールセンター大手15社に生成AI
に関するアンケートを実施し、13社から回答を得た。(中略)


具体的な用途(複数回答可)では、回答した11社全てが電話応対中に必要
な情報を示すなど「オペレーター支援」に利用していた。通話内容の書き
起こしや要約といった「後処理」の業務でも11社が生成AIを活用していた。


顧客対応そのものを人間のオペレーターから生成AIに切り替える動きも広
がる。7社が文章で自動回答する「チャットボット」の精度向上に生成AI
を活用し、3社が「ボイスボット(AI音声による自動回答)」の実用化を
進めている。(中略)


対話型AI「チャットGPT」などを使い音声通話終了後の書き起こしや要約
を自動化したKDDI傘下のアルティウスリンク(東京・新宿)は、対象とな
る業務時間を47%減らした。従業員の負荷が軽くなっただけでなく、記録
の質も高まったという。(中略)


NECフィールディングは電話による自動応答システムに、23年度中に生成
AIの機能を組み込む。従来は消費者が自動音声に従って該当する番号を入
力し、問い合わせ窓口を選ぶ仕組みだった。生成AIの導入後は口頭で用件
を説明すれば最適な窓口に自動で案内されるようになる。」
出所)「顧客対応時間、AIで半減」『日本経済新聞』2024年1月15日朝刊
7面


AIの回答精度はデータ量に依存しますので、調達購買業務でのAIの活用は
まずは他業務とも共通して行われるものから進むと考えられます。例えば、
調達購買業務に関する社内外の打ち合わせメモの自動書き起こし・要約メ
モの作成といった業務は会社全体として共通のツールを採用する事で導入
が進められていくでしょう。


次いで、ソリューションとしては既に実装され、欧米では導入が進んでい
ますが、トランザクションに関するものや契約締結業務でのAI活用が調達
購買ソリューションや契約管理ソリューションの採用と共に進んでいくと
考えれます。例えば、請求書送付や支払に関する照会といったサプライヤ
とのやり取りや、契約書案や交渉で生じた代替条項案のレビューにおいて
AIを活用化した自動化の事例が出てきています。


まだ、業務そのもののデジタル化が遅れているため、事例としては筆者は
把握していませんが、トランザクションに関するサプライヤとのやり取り
の延長として、サプライヤ登録や提案・見積依頼に関してサプライヤから
の問い合わせ対応においてもAIによる回答案の作成・回答の自動化といっ
た活用は近い将来実現していくと考えられます。


平行的に、ある事象が起こった時の供給リスクが懸念されるサプライヤ・
品目の特定や過去の対応事例から対応策を推奨するリスクマネジメントへ
の適用といったケースが出てくるものと考えられます。


多くの方が期待し問い合わせも多い見積査定・交渉へのAIの適用ですが、
調達・ソーシング業務のデジタル化の遅れやBtoBの価格交渉は企業間で個
別のものでデータ量に欠けるため精度向上に時間が掛かり、実用化はまだ
遠いと筆者は予想します。


筆者は元々コストは交渉では低減できず、サプライヤ開拓・競争環境構築・
仕様改善でなければ低減できないという立場ですので、価格交渉はおいて
おくとして、見積査定・コスト低減は、他の領域でのAIの活用によりそれ
らの業務での業務時間が低減されますので、それらの時間を使って調達購
買担当者が更に注力する領域になるものと考えられます。


2024.1.26

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