logo

ナレッジ

vol.144「マツダ/部品バリエーションの絞り込みでコスト低減・利益率改善」

週刊 戦略調達
  【今週のトピックス】  マツダは主力製品でエンジンを搭載する多目的スポーツ車(SUV)の駆動装置の種類を2割削減する。2030年に世界販売の25~40%を電気自動車(EV)にする方針だが、電動化は出遅れ気味だ。EVシフトに向けた経営資源を捻出するため、エンジンや関連部品からなる駆動装置 ...
当社は支出管理(スペンドマネジメント)・戦略調達(ストラテジックソーシング)・最適購買を支援するソリューション群ならびにこれら業務のマネジメントノウハウと中国・アジア・米国・欧州・中南米をカバーするグローバルソーシングネットワークとを基に1)支出管理並びに調達購買マネジメントのアウトソーシング 2)支出管理・調達購買関連システム導入 3)貴社のグローバル最適購買実現などの支出管理・調達・購買・SCMに関わるプロフェッショナルマネジメントサービスを提供しています。それらのサービスを通じて貴社の「最善の支出管理・調達・購買」を実現することにより、調達購買コスト・物流費用・経費の削減や外部支出ならびにサプライチェーンマネジメントに対する効果の最大化による貴社の競争 ...

vol.144「マツダ/部品バリエーションの絞り込みでコスト低減・利益率改善」

 

【今週のトピックス】

 
マツダは主力製品でエンジンを搭載する多目的スポーツ車(SUV)の
駆動装置の種類を2割削減する。2030年に世界販売の25~40%を電気自
動車(EV)にする方針だが、電動化は出遅れ気味だ。EVシフトに向け
た経営資源を捻出するため、エンジンや関連部品からなる駆動装置の
種類を減らし利益率を引き上げる。


国内で扱う5車種(販売終了予定の車を除く)のSUVについて、駆動装
置の種類を18から14に絞る。駆動装置を減らせば、部品や生産設備を
削減できるほか、法令に対応したり機能を高めたりする際の仕様変更
のコストも抑えられる。SUVは23年3月期の世界販売台数のうち65%を
占めるマツダの主力製品で、生産や開発の費用を大幅に圧縮できると
みられる。


主力のSUV「CX-5」ではマニュアル車を廃止し、駆動装置を4種類から
3種類にする。小型SUV「CX-30」は新型エンジン「スカイアクティブ
X」を搭載した車やマニュアル車を廃止する。駆動装置は5種類から2
種類になる。(中略)


マツダの車1台あたり営業利益は23年3月期に12万円と前の期(8万円)
より改善したが、SUBARU(スバル)の31万円と比較して低さが目立つ。


SBI証券の遠藤功治シニアアナリストは「マツダは品ぞろえが生産規
模に対してあまりに多い」と指摘。プラグインハイブリッド車(PHV)
やハイブリッド車(HV)など幅広く手がけており、消費者のニーズに
きめ細かく対応していた。半面、駆動装置の種類が増える傾向にあり、
利益率の低さにつながった。


マツダは世界の自動車メーカーで初めて、小型で出力の高い「ロータ
リーエンジン」の量産に成功したほか、低燃費エンジン技術「スカイ
アクティブ」を開発した。それぞれを搭載したエンジン車で販売台数
を伸ばし、支持を得てきた。


スカイアクティブXは燃費を改善し、走行性能を高めたとして期待が
寄せられていた一方、マツダの他のガソリンエンジンと比べ1台あた
り70万円ほど価格が高く、費用対効果の面で消費者に敬遠されていた
もようで、一部車種での廃止を決めた。
出所)「マツダ、SUVで駆動装置絞りこみ」『日本経済新聞』2023年
9月4日 (https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20230904&ng=DGKKZO74133730T00C23A9TB0000
閲覧日:2023年10月17日)


粗利の高さはマーケティング・営業・経営施策や研究開発への投資の
自由度を高め、事業の活性化・更なる収益性の改善・将来の成長につ
ながります。反対に粗利が少ないと、これらの事業・経営の改善策を
打てず、じり貧の負のサイクルに陥ってしまいます。


粗利の改善には個々の品目でのコスト低減の積み上げという方法もあ
りますが、昨今の様々な費目でのコストアップや最初の品目・サプラ
イヤ選定時に徹底した調達活動をされている場合にはそれらによりコ
スト低減は難しく、値上げ幅の抑制がやっとという所かと存じます。


現在の様々な費目でのコストアップの環境下でコスト低減、それも経
営にインパクトを与える様なコスト低減を成し遂げるにはドラスチッ
クなアプローチが必要となります。


今回のマツダのケースでは部品バリエーションの絞り込みのケースで
す。部品バリエーションの絞り込みにより見込まれる効果は


■その部品バリエーションの絞り込みによる一品目当たりの数量増の
量産効果・購買力増によるコスト低減


■周辺部品・関連工具や治具の絞り込みよる一品目当たりの数量増の
量産効果・購買力増によるコスト低減


■生産設備の削減による設備コスト、法令や規制対応等による仕様変
更に伴う開発コストの低減


■絞り込んだ製品に集中してマーケティング・営業投資する事による
投資対効果の改善


といったものがあります。


抜本的なコスト低減・利益率の現在の様々な費目でのコストアップの
環境下でコスト低減、それも経営にインパクトを与える様なコスト低
減を成し遂げるにはドラスチックなアプローチが必要となります。


2023.10.20

©2024 Samurai Sourcing, Inc.  All rights reserved.