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vol.140「貴方の話を一切聞かず自国の主張のみを押し付ける中国政府の様な輩と交渉するには」

週刊 戦略調達
  【今週のトピックス】   中国政府が公表した同国の領土や領海を示す新しい地図を巡り、アジア各国・地域が一斉に反発しています。理由はこの地図では、南沙諸島や西沙諸島等、中国が一方的に領有権を主張する地域についてすべて自国の主張に沿う形で公表されているからです。日本の領土である尖閣諸島に ...
当社は支出管理(スペンドマネジメント)・戦略調達(ストラテジックソーシング)・最適購買を支援するソリューション群ならびにこれら業務のマネジメントノウハウと中国・アジア・米国・欧州・中南米をカバーするグローバルソーシングネットワークとを基に1)支出管理並びに調達購買マネジメントのアウトソーシング 2)支出管理・調達購買関連システム導入 3)貴社のグローバル最適購買実現などの支出管理・調達・購買・SCMに関わるプロフェッショナルマネジメントサービスを提供しています。それらのサービスを通じて貴社の「最善の支出管理・調達・購買」を実現することにより、調達購買コスト・物流費用・経費の削減や外部支出ならびにサプライチェーンマネジメントに対する効果の最大化による貴社の競争 ...

vol.140「貴方の話を一切聞かず自国の主張のみを押し付ける中国政府の様な輩と交渉するには」

 

【今週のトピックス】

 

中国政府が公表した同国の領土や領海を示す新しい地図を巡り、アジア各
国・地域が一斉に反発しています。理由はこの地図では、南沙諸島や西沙
諸島等、中国が一方的に領有権を主張する地域についてすべて自国の主張
に沿う形で公表されているからです。日本の領土である尖閣諸島について
も中国の主張に基づく表記がされており、日本政府はそれに対し抗議する
と共にその地図の即時撤回を求めています。


調達購買業務の交渉においてもこうした自身の主張しか繰り返さない人い
ませんか?筆者の経験では、中国企業の場合、日本企業との取引を経験し
ている人が多いせいか、そうした人の比率はそれ程多くなく、国民性と言
えるレベルではないと感じます。

こうした交渉スタイルが国民性と言えるのは、まだ仮説レベルですが、イ
ンドのエリート層と筆者は現在、感じています。これも国民すべてという
ものではなく、あくまで役員クラスのエリート層についてです。


彼・彼女らの交渉スタイルは例えばミーティング等でこちらの主張を聞い
た後に、その場では特に何も反論せず、こちらは合意を得られたと感じら
れる様な場面であっても、議事録や対案において何も言い訳する事なく、
しれっと自分の主張を繰り返してきます。これでは全く交渉が進む気配が
見られず、他の選択肢があるならば、私であればさっさとそちらの選択肢
の検討を進めます。


確かにこの交渉スタイルであれば、交渉が成立した場合には、自分の主張
を総取りする事ができます。とはいえ、これでは合意形成できない故の全
体の進行の遅れや交渉決裂の恐れがあります。あまり合理的な交渉スタイ
ルとは思えませんが、それでも、彼・彼女らはそれらのリスクなどは全く
お構いなしに彼・彼女らは自分の主張を繰り返すのみです。インドでは案
件進行の遅延や交渉決裂よりも、交渉で少しでも妥協する方が彼・彼女ら
の社内での評価が大きく下げてしまうのではないかと思える程です。とは
いえ、他に選択肢もない場面もあるでしょうから、今回はそうした輩への
対処法をお伝えします。


まずは譲歩すれば相手も譲歩してくれるという期待は一切捨てて、単純に
BATNA(次善の選択肢)を基に貴社回答をするのが原則です。一方で、全
く譲歩ができない部分については、全く譲歩できない事を繰り返し主張す
るのみです。大切なのは譲歩できない時には譲歩できないと事ある毎に主
張する事です。なぜなら、彼・彼女らは自分達の都合の良い様にしか物事
を解釈しないので、反論しないとこちらは彼・彼女らの主張に合意したと
解釈してしまうからです。


自分の主張を貫く事による交渉リスクを恐れる必要はありません。なぜな
ら、彼・彼女らにとってこうした対応は自分達と同じであり、当然と考え
ているだろうからです。こうした交渉スタイルを取っている人に限って、
向こう側にも交渉に同じ無ければいけない理由があり、交渉を破棄するつ
もりがないからです。また、こちらがBATNAを超えて情報してしまえば、
BATNAを選択するよりも悪い結果となってしまうので、そうした状況であ
ればこの交渉は終わりとし、BATNAを採択した方が自社にとってメリット
があります。


こうした輩との交渉を部下等の第三者に任せる場合には、個々の交渉項目
についてBATNA等どこまでなら譲歩して良いか交渉委任先に明確に権限を
譲歩する必要があります。それがないと、交渉担当者は全く判断ができず、
単なるメッセンジャーと化してしまい、相手にもそれが見透かされてしま
います。一々、貴方の判断を仰いでいては貴方と交渉担当者に無駄な時間
を取らせてしまうばかりで、その担当者に交渉を任せた意味がありません。
貴方がもし少しでも担当者がより良い条件を勝ち取ってきてほしいと考え
ているならば、まずはBATNAではなく、その線を担当者単独での譲歩可能
範囲として担当者にそこ迄の権限を与えましょう。


相手に譲歩する場合には、基本はこれまでよりも譲歩幅を小さく、最低で
もこれまでと同じ譲歩幅となる様に設定しましょう。これは通常の交渉相
手に対しては貴方が誠実な交渉相手であり決して相手の足許を見ている訳
ではないとのメッセージを送るためですが、こちらの話を聞かない相手に
対しては、彼・彼女らはとにかく自分達の都合の良い様に解釈しますので、
粘れば粘る程、良い条件を引き出せるという誤ったメッセージを送らない
ためです。


2023.9.22

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