vol.138「あわや納品事故!?他者に仕事を依頼する時に失敗しない様にするには」
vol.138「あわや納品事故!?他者に仕事を依頼する時に失敗しない様にするには」
【今週のトピックス】
弊社で担当している案件でヒヤリ・ハットした事例がありましたので、ご
参考迄に共有致します。
その案件は特注品の海外調達・購買管理業務の案件なのですが、同じデザ
インで色違いの本体とパッケージとを組み合わせる仕様で、発注数量はそ
れぞれ異なります。大まかに言いますと、品目Aは本体が赤、パッケージ
が黄、発注数量が5万個、品目Bは本体が黄、パッケージが赤、発注数量が
7万個、品目AとBの本体のデザインとパッケージのデザインは同じで配色
だけが異なるというものです。
この仕様を見た時に筆者が懸念したのは品目AとBのそれぞれの本体+パッ
ケージ+発注数量の組み合わせがサプライヤの製造・梱包現場に正しく伝
わっているのかというものでした。筆者はサプライヤの営業としかコミュ
ニケーションチャネルが無く、製造・梱包現場にどの様な指図が出ている
のか確認する手段がありませんでした。
それでも、試作品の本体+パッケージの組み合わせは問題なく、大丈夫か
なと安心しかけた所に梱包仕様書が送られてきて、中身を確認した所、
「やっぱり、このミスが起こったか。」と思いました。梱包仕様書では品
目Aは本体・パッケージ共に赤、品目Bは本体・パッケージ共に黄となっ
ていました。筆者は慌ててサプライヤの営業に連絡し、梱包仕様書の誤り
を指摘すると共に、品目A・Bの製造・梱包指図の本体・パッケージ・発
注数量がどの様になっているか報告してもらう事としました。
結果は品目A・Bの本体・パッケージ・発注数量は両方とも仕様通りとなっ
ており、サプライヤの営業によると今回のミスは梱包仕様書の作成過程で
の人為的ミスであって、品目A・Bの製造・梱包指図は元々誤っていなかっ
たとの事でした。但し、これはあくまでサプライヤの営業の報告ベースに
よるもので、ここでそれぞれの指図を修正した可能性は残りますが、量産
開始前でしたので何れにせよ事なきを得ました。梱包仕様書の確認が量産
開始後であったらと思うとゾッとします。
今回の事例は調達購買業務に限った事ではありませんが、他者に仕事を依
頼する場合には、手直しの工数が大きくなる前迄に依頼内容が正しく理解
されているかを確認するチェックポイントを複数回設ける必要があると改
めて感じさせるものでした。そのチェックにおいては相手方の内部のコミュ
ニケーションが正確に行われているかを知るために、調達購買業務を例に
とれば、相手方の図面・指図書・試作品等、できれば相手方の文書等で確
認するのが望ましいと考えます。
2023.9.8