vol.132「公正取引委員会/ EV充電市場で『競争』の調達戦略を推奨」
vol.132「公正取引委員会/ EV充電市場で『競争』の調達戦略を推奨」
【今週のトピックス】
公正取引委員会は電気自動車(EV)充電サービスを今後の急速な成長が見込
まれる市場とみなし、特に需要が見込まれる高速道路におけるEV充電サー
ビスを対象とする実態調査を行いました。
調査の結果、高速道路のSA・PAに現在設置されているEV充電器の約98.7%
は株式会社e-Mobility Power(前身であるNCS及びJCNを含む。以下eMP)
によって設置され、設置後の入替えもNEXCO三社との共同事業の一環とし
てeMPによって行われており、「現状、eMP以外の事業者が、高速道路のSA・
PAにEV充電器を設置することが想定されているとは言い難い。」と高速道
路におけるEV充電器市場がeMPの独占状態にあると結論づけています。
その上でサービス改善やEV充電器のアップグレード需要・イノベーション
への迅速な対応という観点から「今後、EV充電器の新規設置や入替えに当
たって、高速道路会社は、複数の事業者からEV充電器設置者を選定するこ
とが、競争政策上望ましく、将来的には、EV充電器設置者の新規参入を促
進することにより、EV充電サービスの競争が活発化することが望まれる。」
と提言しています。
出所)「高速道路における電気自動車(EV)充電サービスに関する実態調
査について」『公正取引委員会』2023年7月13日 (https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/jul/230713.html
閲覧日:2023年7月18日)
見方を変えれば、これは公正取引委員会はEV充電器・サービスの調達戦略
として「競争」を推奨していると言えます。公正取引委員会は企業の活力
向上、消費者の効用増大、イノベーションの活性には市場経済が不可欠で、
市場経済のメリットを最大限に引き出すのが公正かつ自由な競争であると
考え、調達戦略の基本として競争戦略を推奨しています。
競争の対極の調達戦略には有力企業との戦略的パートナーシップとの「統
合」がありますが、相手が有力であればある程、買い手企業のコントロー
ル下に置いて統合するのが難しく、サプライヤ優位で取引条件が決められ
る事になります。ですので、その調達品が事業の肝であるならば、必要で
あればその有力サプライヤを買収してでも内製化を進めるべきです。そう
でなければ、買い手企業がその事業を行っている価値がなく、サプライヤ
企業のために事業を行っている事になってしまいます。一部の調達品に統
合の調達戦略によって外部調達するものがあっても構いませんが、その調
達品の事業における相対的価値が低くなる様、どこか他の所で買い手企業
は自分達の力で事業価値を創出する必要があります。
この様な理由から弊社も主たる調達戦略は競争が基本であると考えます。
2023.7.21