vol.120「テスラ/ 部品の安定調達に向けサプライチェーンを簡素化」
vol.120「テスラ/ 部品の安定調達に向けサプライチェーンを簡素化」
【今週のトピックス】
Tesla(テスラ)社がコロナ禍による部品不足や生産の混乱を踏まえ、部
品の安定調達を果たすべく、サプライチェーンの改善を進めています。そ
の方向性は「サプライチェーンの簡素化」です。
その背景には「プレーヤーは少ないほどミスは起こりにくい。ヒューマン
エラーも無視できない。だからテスラは、少数精鋭のチームで完全自動化
を目指す」という考えがあります。
記事によりますと「テスラはプラットフォーム(PF)の刷新を機に取引する
サプライヤを劇的に減らし」ました。改善前の「『モデルS』と『モデル
X』に使うPFでは1次部品メーカー(ティア1)から調達する部品は3400個
で、2次部品メーカー(ティア2)からは同2万1000個だった。これを『モ
デル3』と『モデルY』に使うPFでは、ティア1から同2100個、ティア2から
同1万9000個に減らした。」との事です。
PFの移行にあたりテスラはサプライヤの絞り込みを行いました。「サプラ
イヤの技術力や財政面など判断し、テスラの基準に見合わないメーカを
(新しい)3Y-PFでは使わなかった」との事です。「テスラは低価格な次
世代EVに向けた新PFを準備中で、『(サプライヤ数の削減を)継続的に進め
ていく』方針」だそうです。
とはいえ、サプライヤを絞りすぎるとそのサプライヤに何かあった際の供
給途絶リスクが高まってしまい、実際にそれはコロナ禍で顕在化したリス
クです。そのため「テスラは今、『重要部品の一部を2社、あるいは3社か
ら調達することに取り組んでいる』」との事です。
出所)久米 秀尚「テスラが見せた次世代EVの手札:テスラ『次世代PFで
サプライヤーさらに絞る』、コロナ禍の“悪夢”が教訓」日経クロステッ
ク/日経Automotive 2023年3月23日 (https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02385/032200008/
閲覧日:2023年4月17日)
供給途絶リスクの高まりに加えて、米中対立に伴う地政学リスクの高まり、
社会的に責任のある調達の要請等、サプライチェーンを巡ってはよりきめ
細かい管理が求められる様になっています。そのためにはサプライヤ数を
絞り込んで管理限界の中に収めて行く「サプライチェーンの簡素化」は必
然の動きと言えるかもしれません。
2023.4.21