vol.106「慣れ親しんだ市場こそ既存サプライヤの技術革新・新規参入サプライヤの確認を」
vol.106「慣れ親しんだ市場こそ既存サプライヤの技術革新・新規参入サプライヤの確認を」
【今週のトピックス】
「豊田自動織機は、自動車向けの樹脂製ウインドーを従来に比べて4割低
コストで製造できる新工法を開発した。加工性を高められる新開発のコー
ト剤を採用することで、ポリカーボネート(PC)製ウインドーの製造工程
を簡略化した。」
工程簡略化の具体的な内容は以下となります。
「豊田自動織機の従来の工法では、PC樹脂をウインドーの形状に射出成形
後、コート剤を2回塗布していた。射出成形のために専用の金型が必要だっ
たほか、コート剤を塗布するたびに熱をかけて硬化させなければならなかっ
た。同社の担当者は『使う材料やエネルギーが多く、製造工程も長くなっ
ていた』と話す。
新工法では、押出成形したPC樹脂の平板にコート剤を塗布した後、熱成形
によってウインドーの形状にする。平板であるためコート剤の塗布が容易
で、成形時に熱をかける時間も短くできるという。射出成形用の金型も必
要としない。製造コストは、ガラス製ウインドーとの比較では『昔は3~4
倍だったが、1.5倍弱程度まで下がってきた』(同担当者)という。
新工法の実現に寄与したのが、新たに開発したUVで硬化するコート剤であ
る。曲げに耐える性能を高めることで、コート剤の塗布後でもウインドー
の形状に成形できるようになった。」
出所)本多 倖基「豊田織機がコスト4割減の樹脂ウインドー、パノラマルー
フ以外も開拓」『日経クロステック/日経Automotive』2023年1月6日
(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/07553/?P=2
閲覧日:2023年1月11日)
様々な材カテゴリーで値上げ基調にある中、4割のコスト低減ができれば
非常にありがたい話です。こうした抜本的なコスト低減をもたらすのは大
抵が新技術等を活用した抜本的な工程改善や異なるビジネスモデル・技術
を持った新規参入のサプライヤです。
得てしてその材のサプライヤ市場を熟知している経験者程こうしたサプラ
イ市場の変化を見落としがちです。この市場の主要なサプライヤはどこと
どこでその価格競争力はこの程度といった思い込みが壁となってしまうか
らです。
コスト低減が厳しくなっている現在こそ、価格上昇は仕方がない事とあき
らめずに、既存サプライヤの中で技術革新を起こしている所はないか、異
なるビジネスモデル・技術を以って新規参入してきたサプライヤはないか
を確認する事が大切と考えさせられるケースです。
2023.1.13