vol.105「ユーラシア・グループ/ 2023年10大リスク公表」
vol.105「ユーラシア・グループ/ 2023年10大リスク公表」
【今週のトピックス】
地政学リスクに関するコンサルティングファームのユーラシア・グループ
が2023年10大リスクを公表しました。それらの中からサプライリスクに関
連しそうなものを抜粋します。
リスクNo.1:ならず者国家ロシア
ロシアの日本への脅威は日本を含む西側諸国企業に対するサイバー攻撃や
小麦等の穀物・肥料等の供給リスクと考えられます。
リスクNo.2:「絶対的権力者」習近平
日本へのリスクとしてはこちらの方が第1位でしょう。習氏の権力固めが
終わり絶対的権力を持った事で、軍事・外交・経済等のあらゆる政策が彼
の思惑次第となり、それらの方向性がますます読みにくくなります。中国
市場向とそれ以外の市場向サプライチェーンのデカップリングを今年は一
層進めていく必要があると考えます
リスクNo.4:インフレショック
昨年本格化したインフレは各国中央銀行の利上げにも関わらず続く見込み
です。金融引き締めは終わっておらず、日本も含め各国で利上げが繰り返
されるでしょう。調達購買の観点からはまだまだ様々な品目でサプライヤ
から値上げの要請が来る事が予想されます。利上げのペースは各国で異な
るため今年も為替が乱高下する事が懸念されます。海外調達品については
難しい判断や様々な対応が求められる年になりそうです。加えて、インフ
レと金融引き締めによる世界各国での景気後退も予想され、サプライヤが
値上げ要請を受けているにも関わらず、経営陣からは更なるコストダウン
の指示が出て頭を悩ます事になるかもしれません。
リスクNo.5:追い詰められるイラン/ リスクNo.6:エネルギー危機
日本への影響を考える際にはこれら二つのリスクはセットで考えて良いで
しょう。ロシアからの原油・ガスの供給が限定的となり供給タイトになっ
ており、イランが原因で中東で紛争が起これば原油・LNGの価格が高騰す
る事が予想されます。原油・LNGの価格高騰は電力・石化品を始めとして
様々な品目に波及しますので、これらが顕在化しない事を祈るばかりです。
リスクNo.10:逼迫する水問題
水不足は農産物や半導体等の工程で水を大量に使う産業だけでなく、水力
発電が主要な地域では電力不足となり、業種を問わずそれら地域のすべて
の産業を直撃し、様々な品目のサプライチェーンに混乱を来す事となりま
す。
これらのリスクは起こるかもしれないリスクというより、リスクが顕在化
したインシデントといえるかもしれません。これらリスクの対応はもちろ
んですが、リスクの影響は想定外のもの顕在化した時の方が対応が進んで
おらず、その影響が甚大になります。また、会社・事業毎にリスクは異な
ります。新年を迎えるにあたって上記以外にも貴社にとってのリスクに何
があるかを点検されてはいかがでしょう。
参考)"TOP RISKS 2023" Eurasia Group
2023.1.6