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vol.63「価値の源泉は外部調達ではなく内製で」

週刊 戦略調達
  【今週のトピックス】   外作(外部調達)か内作(内製)か。企業が何かを調達しようとする時に最初に判断すべき事の一つです。今回はその答えの参考になるトヨタのケースをご紹介します。「トヨタ自動車は2025年にも、次世代車の加速や安全制御機能などを一括で動かす頭脳にあたる基本的な車載ソフ ...
当社は支出管理(スペンドマネジメント)・戦略調達(ストラテジックソーシング)・最適購買を支援するソリューション群ならびにこれら業務のマネジメントノウハウと中国・アジア・米国・欧州・中南米をカバーするグローバルソーシングネットワークとを基に1)支出管理並びに調達購買マネジメントのアウトソーシング 2)支出管理・調達購買関連システム導入 3)貴社のグローバル最適購買実現などの支出管理・調達・購買・SCMに関わるプロフェッショナルマネジメントサービスを提供しています。それらのサービスを通じて貴社の「最善の支出管理・調達・購買」を実現することにより、調達購買コスト・物流費用・経費の削減や外部支出ならびにサプライチェーンマネジメントに対する効果の最大化による貴社の競争 ...

vol.63「価値の源泉は外部調達ではなく内製で」

 

【今週のトピックス】

 

外作(外部調達)か内作(内製)か。企業が何かを調達しようとする時に
最初に判断すべき事の一つです。今回はその答えの参考になるトヨタのケー
スをご紹介します。

「トヨタ自動車は2025年にも、次世代車の加速や安全制御機能などを一
括で動かす頭脳にあたる基本的な車載ソフトウエアを実用化する。(中略)

トヨタが開発を進めるのは『アリーン』と呼ぶ車載用の基盤ソフト。米マ
イクロソフトの『ウィンドウズ』や米アップルの『iOS』などの基本ソフ
ト(OS)の車版と言える。トヨタ子会社のウーブン・プラネット・ホール
ディングス(東京・中央)が主に開発を手掛ける。」
出所)出所)「トヨタ、独自の車載用基盤ソフト 外販も」『日本経済新
聞』2022年1月4日朝刊 1面


トヨタはソフトウエア会社ではありません。通常の外部調達(以後「調達」
と表記)の考え方「内作より価格競争力のある専業から調達する事でコス
ト低減」という考え方に則れば、マイクロソフト・アップル・グーグルと
いったIT企業、もしくは車載OSで先行する電気自動車メーカのテスラ等、
外部企業から車載OSを調達するという選択肢になる所でしょう。


そうした選択が為されなかったのは、トヨタが車載OSは今後の自動車の
価値源泉と考えているからと弊社では捉えています。事業開発を進める際
のチェックリストの一つに「その事業を自社がやる意義があるか」という
ものがあります。この項目の意味する所は、貴社が顧客に対して価値を提
供できる立場にあるか、提供する価値が無いのであれば、貴社がその事業
を手掛ける意義はなく、その価値を提供できる他社が担うべきというもの
です。


トヨタの今回の判断は車載OSを自社で開発できないのであれば、それはト
ヨタが自動車メーカではなく、単なる受託製造企業になると考えたのでしょ
う。


恐らく、今回の開発投資は先行している他社から車載OSを調達するよりも
数倍も費用や時間が掛かるものと考えられます。それでも、トヨタが自動
車メーカであり続けようとするならば、どんなに費用が上回ろうとも、車
載OSは調達ではなく内製の一択と弊社は考えます。


2022.2.25

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