vol.102「総務省/ 電波オークション導入へ」
vol.102「総務省/ 電波オークション導入へ」
【今週のトピックス】
「通信サービスに使う電波をめぐり、最も高い価格を提示した事業者に割
り当てる『オークション方式』を、総務省が一部の周波数帯で導入する見
通しとなった。」
出所)「『電波オークション』高周波数帯で導入へ」『日本経済新聞』
2022年9月14日 (https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220928&ng=DGKKZO64675330X20C22A9EP0000
閲覧日:2022年12月14日)
こちらは売り手が開催するオークションとなり、買い手企業が調達購買業
務で実施する場合には最も低い価格を提示したサプライヤが取引を獲得す
るリバースオークションとなります。
日本では実施されている企業は少数派となりますが、実施されている企業
では間接材を中心にかなり多くの案件を相見積や入札ではなくリバースオー
クションで調達しています。それにはリバースオークションに以下の様な
メリットがあるからです。
1. サプライヤ間に現行の最安値を開示する事で価格交渉を自動化し、担
当者の価格交渉力を問わずに交渉での取りこぼしを無くす
2. リバースオークションの競争の煽り効果でサプライヤのロジカルな予
定価格を超えるコスト低減を引き出す - コストは論理で決まりますが、
価格はサプライヤの意志で決まります
よって、リバースオークションが適しているのは上記の2.の煽りの効果が
得られる調達案件で、継続購入品よりも製品寿命の短い電子機器の一括購
入やPJ関連等の都度購買品です。
リバースオークションには開催時間中サプライヤの営業担当が張り付いて
いなければならないといった批判もありますが、最小価格から始め価格を
競り上げていき、最初に手を挙げたサプライヤに取引を授与するダッチフォ
ワードオークションといったオークションタイプとオークション開始価格
や価格変動幅を調整する事で開催時間を短縮、サプライヤの負荷を減らす
事が可能です。
また、オークションは価格しか評価できない、価格競争を煽る事で品質・
納期等に無理が生じるといったデメリットについては、品質・納期・マネ
ジメント要件について事前審査しすべてに合格したサプライヤや、品目は
都度購買であっても他品目で継続的取引があり、一度サプライヤがコミッ
トした事を反故にする様な事があればそれらの取引への影響が出るため約
束を遵守するサプライヤに絞ってオークションに招待するといった方法で
回避できます。
何にでも利く魔法の弾丸とはいきませんが、道具としてピタリとはまれば
有効なツールの一つですので、今回の総務省の電波割当でのオークション
の採用が日本でリバースオークションの理解を深める一助になればと考え
ます。
2022.12.16