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vol.101「集中購買は調達権限の集約から」

週刊 戦略調達
  【今週のトピックス】 「デジタル庁は各省庁が個別に企業と結ぶネットワーク契約をデジタル庁に集約する時期の前倒しを検討する。各省庁の契約終了時に順次切り替える計画を改め、途中解約により予定より早める。一括契約で費用を抑え、ソフトウエアの重複調達もなくす。 契約解除に伴う違約金を払ってでも計画を早 ...
当社は支出管理(スペンドマネジメント)・戦略調達(ストラテジックソーシング)・最適購買を支援するソリューション群ならびにこれら業務のマネジメントノウハウと中国・アジア・米国・欧州・中南米をカバーするグローバルソーシングネットワークとを基に1)支出管理並びに調達購買マネジメントのアウトソーシング 2)支出管理・調達購買関連システム導入 3)貴社のグローバル最適購買実現などの支出管理・調達・購買・SCMに関わるプロフェッショナルマネジメントサービスを提供しています。それらのサービスを通じて貴社の「最善の支出管理・調達・購買」を実現することにより、調達購買コスト・物流費用・経費の削減や外部支出ならびにサプライチェーンマネジメントに対する効果の最大化による貴社の競争 ...

vol.101「集中購買は調達権限の集約から」

 

【今週のトピックス】


「デジタル庁は各省庁が個別に企業と結ぶネットワーク契約をデジタル庁
に集約する時期の前倒しを検討する。各省庁の契約終了時に順次切り替え
る計画を改め、途中解約により予定より早める。一括契約で費用を抑え、
ソフトウエアの重複調達もなくす。


契約解除に伴う違約金を払ってでも計画を早める方が効率化やコスト削減
の利点が出る可能性があるとみて、各省庁との協議に入った。契約期間は
4年ほどとする例が多く、1~3年程度前倒しできるとみられる。


現在はそれぞれでネットワーク環境が異なるため、省庁ごとに別々のオン
ライン会議やメールなどのソフトを使っている。新型コロナウイルス禍で
省庁間でオンライン会議をつなげられないといったことが起こり、業務上
の連携の妨げになっていた。


デジタル庁の一括契約でネットワークを統合すれば、複数省庁を併任する
職員によるソフト調達の重複をなくせるほか、サイバー攻撃などに統一の
基準でセキュリティー対策をとれる。


契約が大型になるので調達先の企業との価格交渉力も高まる。霞が関全体
でみたネットワーク運用に関わるコスト削減につながる。


ネットワーク契約には省内イントラやインターネット回線、パソコン端末
や業務用スマートフォン、パソコンのソフトまで幅広く含まれる。」
出所)「省庁個別のネット契約 デジタル庁集約を1~3年前倒し」『日本
経済新聞』2022年11月9日朝刊4面


各省庁間で分散購買していた省内ネットワークやパソコン・スマートフォ
ンといったハードならびにソフトウェア等のITカテゴリーの支出を集中購
買に切り替えていくというケースです。


集中購買を進めていくには調達するものの仕様の共通化と調達権限の集約
とが必要となりますが、弊社ではまずはカテゴリー毎の調達権限の集約か
ら着手されるのが良いと考えます。


調達権限とはサプライヤと取引条件を決定する権限です。なぜなら、仕様
の共通化は容易ではなく、どうしても時間が掛かってしまう、場合によっ
ては要求元間での調整が上手くいかず、途中で頓挫してしまう可能性もあ
るからです。通常、仕様の決定権限はユーザにありますので、ユーザの数
だけ仕様の意思決定者がおり、仕様の共通化・仕様の決定権者の集約は容
易ではありません。一方で、調達権限はガバナンスの問題でマネジメント
が集約すると意思決定すれば集約可能です。


確かに仕様を共通化できれば取引量も増え、サプライヤにとって魅力のあ
る取引となり、より有利な取引条件を引き出せる可能性は増えます。しか
しながら、集中購買のメリットはそれだけではないので、仕様の共通化を
目指して集中購買の実現に時間を掛けるよりも、まずは調達権限の集約を
進めそれらのメリットを享受した上で仕様の共通化を進めていくのが望ま
しいと考えます。


取引量以外の集中購買のメリットとして、例えば人員や調達購買システム
といった調達リソースの重複の解消や、集約した調達購買スタッフ・シス
テムに集中投資する事でその機能を深堀、高度化できる事が挙げられます。
他にも、カテゴリー全体の支出が俯瞰できますので、品目は共通化されて
いないもののサプライヤは集約する、或いは品目毎のベストサプライヤか
らの分散購買とするといった適切な調達戦略の採択が可能になる、ハード
・ソフトウェア等の仕様の共通化が比較的容易なものはユーザをナビゲー
トし仕様の共通化を進めていくといったメリットもあります。


お客様と話していると、企業においては国内では集中購買が進めている所
は多くありますが、日本企業でグローバルに集中購買を進めている所はま
だまだ少ないというのが筆者の肌感覚となります。各地域の要件により仕
様の共通化は難しいにしても、調達権限の集約を目的とした集中購買には
上記の様なメリットがありますので、もっと日本企業もグローバルにカテ
ゴリー毎の調達権限の集約を進められた方がよろしいかと存じます。


2022.12.9

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