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vol.87「アマゾンエコー原価、旧型の半値」

週刊 戦略調達
  【今週のトピックス】   「米アマゾン・ドット・コムのスマートスピーカー「エコー」の普及モデルを分解調査した。部品価格を合計した推定原価は24ドル(約3200円)と旧機種から半減した。(中略) コスト削減に大きく寄与しているのは電子部品と素材だ。例えばメイン半導体の推定価格は5ドル ...
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vol.87「アマゾンエコー原価、旧型の半値」

 

【今週のトピックス】

 

「米アマゾン・ドット・コムのスマートスピーカー「エコー」の普及モデ
ルを分解調査した。部品価格を合計した推定原価は24ドル(約3200円)
と旧機種から半減した。(中略)


コスト削減に大きく寄与しているのは電子部品と素材だ。例えばメイン半
導体の推定価格は5ドルで台湾・聯発科技(メディアテック)製だった。
半導体は毎年性能が向上するが、古い製品はその分価格が下がっていく。
旧モデルからほとんど性能が変わらない半導体を採用することで価格を抑
えた形だ。


中核以外の半導体でもコスト削減の秘訣がある。これまで米国メーカー製
だったオーディオ用半導体はメディアテック製になり、韓国サムスン電子
製が使われていた記憶装置では米マイクロン製の価格が安い部品に切り替
わっていた。


また筐体(きょうたい)は旧モデルではアルミ製だったが、プラスチック
になった。筐体の価格は1ドルと10分の1程度に抑えた。」
出所)「アマゾンエコー原価、旧型の半値」『日本経済新聞』
2022年8月16日朝刊14面


今回はコスト低減についての色々な示唆を含むアマゾンのエコーの事例で
す。最初のポイントは商品コンセプトの明確化です。そもそも旧型とこの
商品を比べて良いのかという位、商品の位置づけが変わっています。これ
まではスマートスピーカという単体のハードとして販売されている側面が
ありました。そのため、製品単体の魅力度を高める必要がありました。


しかしながら、このエコーの普及モデルは発売して1年も経たない内から
原価割れで販売される等、動画・音楽のコンテンツ配信や会員制サービス
のプライム等のアマゾンの各サービスの販売チャネルとしての側面に重き
が置かれる様になっています。そのため、今回の普及モデルの機能・仕様
は必要最低限のものに抑え、コスト低減を徹底的に追及したものとなって
います。


スマートフォンや日本の家電メーカは新しいモデル投入時には消費者が求
めているか否かに関わらず、機能追加等により製品売価の維持・アップを
試みます。しかしながら、アマゾンはコスト低減という至上命題を果たす
ために、中核となる半導体の性能を維持し、年々性能比単価が低減すると
いう半導体の特性を活かしてコスト低減を果たしました。また、筐体をア
ルミからプラスチックにダウングレードしています。これならば確実にコ
ストは下がります。


次いでのポイントはコスト低減には何かを変える必要があるという事です。
基本的に最初の選定で適正にサプライヤを決定していれば、半導体の様な
特殊なカテゴリーを除き、交渉で価格を下げるのは難しく、何かを変える
必要があります。実際、アマゾンはオーディオ用半導体や記憶装置ではサ
プライヤを変更しています。繰り返しになりますが、筐体ではグレードを
下げています。こちらは仕様・材料変更です。


今回のケースでは抜本的なコスト低減には、
1. 商品コンセプトの明確化とそれに合わせた仕様の適正化
2. 仕様・サプライヤ等何かを変える
といった手法が有効である事を示しています。


2022.8.26

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