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vol.86「ユナイテッドアローズ/ 新疆綿の使用を中止」

週刊 戦略調達
  【今週のトピックス】   「セレクトショップ大手のユナイテッドアローズは2023年の秋冬向け商品から、全ブランドで中国の新疆ウイグル自治区で生産された綿花の使用を中止することを決めた。今年の秋冬商品から一部ブランドで先行して使用をやめる。ウイグルでは強制労働の疑いがあり、消費者や投資 ...
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vol.86「ユナイテッドアローズ/ 新疆綿の使用を中止」

 

【今週のトピックス】

 

「セレクトショップ大手のユナイテッドアローズは2023年の秋冬向け商品
から、全ブランドで中国の新疆ウイグル自治区で生産された綿花の使用を
中止することを決めた。今年の秋冬商品から一部ブランドで先行して使用
をやめる。ウイグルでは強制労働の疑いがあり、消費者や投資家の視線が
厳しさを増していることに対応する。


米国が6月、新疆ウイグル自治区からの輸入を原則禁止する法律を施行する
など、同地の人権問題には厳しい目が向けられている。ユナイテッドアロー
ズは新疆綿の使用に関する姿勢を明確にしていなかったが、『人権侵害な
どの疑いがある素材を商品に使用するのは企業活動として適切でない』と
判断した。


現時点での新疆綿の使用量は調査中としている。各取引先に産地の確認を
求め、新疆綿を使っていることが判明すれば使用を取りやめる。ただ、使
用する素材は多岐にわたり『意図せず使用してしまう可能性はある』と難
しさをにじませる。」
出所)「ユナイテッドアローズ、新疆綿の使用を中止」『日本経済新聞』
2022年7月22日朝刊16面


米中の対立が激しくなる中でサプライチェーンの組み方が非常に難しくなっ
ています。新疆綿の使用も判断が分かれるテーマです。新疆綿を使い続け
れば欧米市場から排斥されるリスクがあります。一方で、新疆綿の利用を
辞めれば中国市場から排斥されるリスクがあります。


規制が製品を対象としたものであっても、新疆綿を巡るこれらの市場から
の排斥リスクはそれぞれの企業の価値観を巡る風評リスクのため、市場毎
にそれぞれに即した原材料を使い分けても免れる事ができない可能性があ
ります。


このケースにおいて二兎を追うのは両方の市場を失うリスクが高く、中国
市場を取るか、欧米市場を取るかの判断が迫られています。この場合、覚
悟を決め、自社にとりより重要な市場のどちらかを選ぶ必要があります。
決断をする事でどちらかの市場から排斥されるリスクを取る事により、取っ
ているリスクが特定されます。リスクが分かっているのであれば対策が取
れますので、リスクを取った市場から排斥される可能性を低減する事が可
能です。

 

反対にやってはいけないのは現状維持・意思決定の先延ばし等で気付かな
い内にリスクを取っている・両方の市場から排斥されるリスクを抱えると
いった事態です。事故発生時に良く聞く「想定外でした。」という言葉が
示す通り、リスクマネジメントはリスクを特定する事から始まります。


2022.8.19

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