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vol.82「サプライヤが弱小・苦しい時が戦略的パートナーシップの機会」

週刊 戦略調達
  【今週のトピックス】   強力なタッグで先端半導体市場をリードする台湾積体電路製造(TSMC)とオランダの半導体製造装置大手のASMLですが、その関係は1980年代の創業期からの深い縁で始まっています。 「『創業時の資金調達が大変難しく(日米の企業が関心を示さないなかで)、TSMC ...
当社は支出管理(スペンドマネジメント)・戦略調達(ストラテジックソーシング)・最適購買を支援するソリューション群ならびにこれら業務のマネジメントノウハウと中国・アジア・米国・欧州・中南米をカバーするグローバルソーシングネットワークとを基に1)支出管理並びに調達購買マネジメントのアウトソーシング 2)支出管理・調達購買関連システム導入 3)貴社のグローバル最適購買実現などの支出管理・調達・購買・SCMに関わるプロフェッショナルマネジメントサービスを提供しています。それらのサービスを通じて貴社の「最善の支出管理・調達・購買」を実現することにより、調達購買コスト・物流費用・経費の削減や外部支出ならびにサプライチェーンマネジメントに対する効果の最大化による貴社の競争 ...

vol.82「サプライヤが弱小・苦しい時が戦略的パートナーシップの機会」

 

【今週のトピックス】

 

強力なタッグで先端半導体市場をリードする台湾積体電路製造(TSMC)
とオランダの半導体製造装置大手のASMLですが、その関係は1980年代の
創業期からの深い縁で始まっています。


「『創業時の資金調達が大変難しく(日米の企業が関心を示さないなかで)、
TSMCの創業に唯一、手を差し伸べてくれた海外企業がフィリップスだった』。
創業に携わった清華大学の史欽泰教授はそう当時を振り返る。TSMC創業者
の張忠謀(モリス・チャン)氏は、この時もインテルに出資協力を仰いだ
が、無念にも断られた。」フィリップスはASMLの親会社でもあり、TMSC
とASMLとのビジネス面での仲介も行って参りました。


後の1997年、インテルが国際的なコンソーシアムを立ち上げ、米モトロー
ラなどと共同で最先端のEUV装置の開発に乗り出した際に、インテルはTSMC
の参画をかたくなに拒否。TSMCはASMLをパートナーに選び、この屈辱を
バネに2社でEUV開発にまい進。紆余(うよ)曲折を経ながらも、インテル
がなし得なかった世界初のEUVの実用化にこぎ着け、2019年から先端半導
体の量産を成功させました。
出所)「半導体2強、進む技術支配」『日本経済新聞』2022年6月29日朝
刊12面


調達購買の世界ではサプライヤとの信頼関係が重要と言われますが、会社
対会社でそうした関係を築く事は容易ではありません。特にそのサプライ
ヤが成功してからすり寄った場合にはなかなかそうした関係に迄至らない
でしょう。


筆者は総合商社に勤めていた時に商社の機能の調査・提言を行う業務を担
当しており、その一つに現在の商権がどの様にして成り立ち、現在自社が
果たしている機能について調査するというものがありました。そこで得ら
れた結果の中で、グロバール化や電子メール等のグローバルコミュニケー
ション技術が進展しサプライヤが成長した現在に至っては、総合商社が果
たしている機能に価値があまり見出せないものの、その事業の立ち上げ期
に与信や総合商社の物理的なグローバルネットワーク等によりサプライヤ
を支える事で商権を獲得、何十年もその商権が続いているというものが多
くありました。


会社は人の集団で成り立つもの。グローバル化・IT化が進もうと、相手が
弱小・苦しい時に支援するのが強固な関係構築につながるというのは不変
の様です。すべてのサプライヤとそうした関係を構築すべきとは考えませ
んが、技術的制約等でその会社からしか買えないという様なカテゴリーに
ついては、例え相手が小さくとも、否相手が小さい時こそこうした関係が
築きやすいので、積極的にサプライヤとの長期パートナーシップ戦略を採
り、そのサプライヤと共に事業を大きくしていくというのがかなり有効な
戦略の一つとなります。


2022.7.22

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