vol.81「日本電産/ EV半導体発注を集約」
vol.81「日本電産/ EV半導体発注を集約」
【今週のトピックス】
「日本電産は2022年内に電気自動車(EV)向けなど車部品用の半導体に
ついて、メーカーへの発注をグループで集約する。重複する製品をまとめ
て注文し、発注量の多い顧客との取引を優先するメーカーへの交渉力を高
める。長期の購入契約を結び、安定調達につなげる取り組みも始める。」
出所)「日本電産、EV半導体発注を集約」『日本経済新聞』2022年6月8日
朝刊17面
調達の基本は購買力というケースです。交渉力は購買力から生じるものの
一つですが、交渉力=購買力ではありません。購買力は色々な要素の組み
合わせで生じるもので、一言で言えば「購買力とは買い手企業がサプライ
ヤにその取引を魅力的に見せる組織的な力」となります。
供給難の現在では想像できないかもしれませんが、購買力があれば交渉せ
ずともサプライヤの方から良い条件の提案を持ってきます。購買力を醸成
するには「お客様は神様」といったハリボテの立場にあぐらをかかず、取
引を可能な限り魅力的に見せるべく努力する必要があります。
例えば、今回のケースのグループ集中購買で発注量をまとめる、長期契約
で安定的な取引である事を示すといった行為がその努力にあたります。長
期契約は安定的な取引である事を示すだけでなく、取引期間中の発注量を
まとめる事で取引量を増やすという効果もあります。
発注量を増やす以外にも購買力を高める方法は色々あります。より多くの
サプライヤと接触する、期限内に支払をする、約束を守る、価格交渉に真
摯に対応し適正な値上げは受け入れる等々、競争環境を構築する一方、貴
社との取引をサプライヤに魅力的に見せる努力が貴社の購買力の強化につ
ながります。
少なくとも後数年は調達難の時代が続きそうですので、貴社の購買力を磨
く事が不可欠となります。
2022.7.15