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【環境調達.com 第5号 2009.7.23】
ウォルマート、商品の環境負荷に関わる世界標準指標の開発に着手

米国小売大手のウォルマートが、"worldwide sustainable product index
(商品の環境負荷に関わる世界標準指標)"の開発計画を発表しました。

企業が環境経営、環境調達を進めていくには、製品・サービスの環境負荷
の測定が不可欠です。しかし、一口に環境負荷と言っても、エネルギー、
資源、温暖化ガスなど、様々な側面があります。また、製品の製造から提
供まででなく、利用、メンテナンス、廃棄時の環境負荷も考慮した製品・
サービスのトータルのライフサイクルでの環境負荷を測定する必要があり、
現在の所、これだ!という指標はありません。ウォルマートもそこに着眼
したのでしょう。

ウォルマートが示した開発ステップは以下の通りです。

■ステップ1:サプライヤ調査
ウォルマートは10万の取引先に対し、(後述しますが、ウォルマートにと
っては)簡単な15の質問を実施。質問は、
1.エネルギーと温暖化ガス
2.資源効率
3.社会的責任を考慮した調達
4.社会的責任を考慮した生産
の4つの分野に亘ります。

ウォルマートは米国のトップティアのサプライヤを対象に、10/1までにこ
の調査を完了します。米国外では、国別にタイムラインを決め実施との事
です。

■ステップ2:ライフサイクル診断データベース
第2ステップとして、当社は複数の大学によるコンソーシアム(共同機関)
の創設に力を貸します。このコンソーシアムは、サプライヤ、小売業、
NGO、行政と協力し、原材料から廃棄に至るまでのライフサイクルを通じ
た商品情報のグローバルデータベースの開発を行います。当社は、ソリュ
ーション企業とも連携し、この指標を支えるオープンプラットフォームを
作成していきます。アリゾナ州立大学とアーカンソー大学とが共同でこの
コンソーシアムを率いていく予定です。他の大学の参加については、現在
協議中でうs。

■ステップ3:消費者向けの簡便なツールの提供
商品購入者が、環境への負荷をより考慮した上で商品の選択ができるよう、
簡便で容易に格付けの意味が分かる商品情報の提供が、最終ステップとな
ります。情報の提供方法は、数値と色などを活用したラベリングを予定し
ています。コンソーシアムで、スコアリングプロセスの詳細を決定してい
く予定です。

大きな方向としては、ウォルマートが提示している方向には、弊社も賛成
しますが、諸手を上げてという訳ではありません。それは、この取組に、
大きく分けて、二つの問題点を感じているからです。

一つは、サプライヤへの指標開発の負荷のほぼ強制的な移転です。ウォル
マートは、この開発にあたり、15の「簡単な」質問をすると言っています
が、その質問とは、

「貴社の年間の温暖化ガス排出量を教えて下さい」

「もし測定しているならば、ウォルマート向けの商品製造拠点における廃
 棄物量を教えて下さい」

「もし測定しているならば、ウォルマート向けの商品製造拠点における水
 使用量を教えて下さい」

「ウォルマート向けの商品の何れかについて、第三者の認証を取得してい
 ますか」

「貴社には製造段階での社会的責任をマネジメントする仕組みがあります
 か」

といったもので、それなりのコストと手間を掛けなければ、これらには、
有意な回答ができません。ウォルマートは、この質問の回答によって、取
引先の選別を行うか否かは明確にしていませんが、サプライヤとしては、
これらに有意な回答ができなければ、取引が切られると考えるのが普通で、
かなりのプレッシャーとなります。確かに、ウォルマートのような社会的
に大きな影響力を持つ企業が、こうしたアクションを取ることは歓迎すべ
き事なのでしょう。実際に、これらの質問に答えるられるように資源効率
を測定し、無駄を改善していけば、サプライヤの競争力の向上にも貢献す
るでしょう。しかし、自分はきれいな立場に立ち、その過程の痛みやリス
クを一方的にサプライヤに押し付ける事に、個人的には違和感を感じます。
ウォルマートのような大手ではあれば、もう一歩踏み込んで、サプライヤ
がこられの取組を推進できるよう、支援すべきではないかと思います。

もう一つの懸念は、測定の方法です。

ウォルマートが開発しようとしている指標は、包括的な環境負荷に関わる
ものなので、科学的必要性の根拠の曖昧なカーボンフットプリントに比べ、
まだましかもしれません。しかし、包括的であるため、必要とされるデー
タは非常に膨大なものとなります。非常に膨大、複雑、手間が掛かるため
に、安易な取組姿勢では、すぐに指標による管理が陥る罠に嵌ってしまう
恐れがあります。

指標による管理が陥りやすい罠は、本来測るべきものではなく、測れるも
のの管理に目的がすり替わってしまう指標の誤りと、指標は正しくとも、
不正確な測定により、誤った判断をしてしまう測定方法の誤りがあります。
日本で、成果主義の問題ではなく、安易な制度設計と運用で、これら二つ
の罠に陥り、至る所で成果主義が失敗したのが、これらの誤りの良い例で
す。

ただ、今回立ち上げられるコンソーシアムがこれらの壁を乗り越える事が
できれば、この指標は、地球環境への負荷低減に大きな役割を果たす事は
間違いありません。引き続き、そのインパクトの大きさから考えると、こ
の指標の開発の進展を注視していく必要があるでしょう。

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【編集後記】

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

本文にも書きました通り、ウォルマートの今回の取組は、安易な取組によ
る大手サプライヤへの取引の集約が進む懸念があります。

しっかりとした意図に基づくサプライヤ集約と、安易な取組による大手サ
プライヤへの集約は、傍目からでは区別が難しいのですが、後者は、見た
目がきれいな野菜を作るべく、大量に農薬投与や殺虫剤を散布し、生態系
の猥雑さを消した結果、新たな天敵や病気が発生した時に一気に淘汰され
てしまう非常に脆い生態系を作るのと同じ事なのではないかなと感じてい
ます。

                            (中ノ森)

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【環境調達.com】
■発行者 株式会社 戦略調達 中ノ森 清訓
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■発行日 毎週木曜日+随時
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