【週刊 戦略調達 vol.116 2011.8.2】
国内もドル建て決済!?

【今週のトピックス】

円高が止まらない。とうとう対ドルで70円台をつけてしまうようになった。
そうした中、自動車メーカのマツダの山内孝社長はインタビューで以下の
ように答えている。

「70円台の水準は国内でつくるなと言っているに等しい。体力を超えてい
る。」「国内生産100万台を守ると部材メーカには言っているが、マツダ
だけが円高の負担を負うのは限界がある。国内の部材メーカともドル建て
で決済するなどして、応分に負担してもらう。その代わり100万台は守り
たい。互いに危機感を共有しつつグローバルな競争力を高める(出所:日
本経済新聞 2011年7月31日 7面)」

為替リスクを回避する一つの方法が予め定められた為替レートで為替取引
を行う為替予約だ。当然、スポットレートと比べた時に、勝ち負けが出て
きてしまうが、最終的な評価為替での取引金額を確定できるメリットがあ
る。また、予め時間的猶予を持って為替レートを確定できるため、自社で
コントロールできる余地が生じる。経営からしてみれば、将来的なコスト
が幾らになるか分からないというのはリスクであり、将来のスポットレー
トと比べると高くなる可能性はあってもコストを確定できるメリットは大
きい。

コストが予見できれば予め手を打てるが、いきなり為替損失を突き詰めら
れては、時によっては打ち手がまったく限られてしまうかもしれない。そ
うした予見できないリスクは、経営者からみれば多少のコストを掛けてで
もなくしておきたいものである。

為替予約は有効な為替リスクの回避方法だが完璧なものではない。先物を
使っての取引になるので、現物の為替市場の影響を受ける。現在が円高で
あり、その要因が将来も続くと想定されれば、先物の為替レートも円高基
調で推移する。あくまでも市場取引なので、自分が望むレートでいつも予
約できるとは限らない。対ドルの円の為替予約であれば、あなたが望むレー
トで円を売ってドルを買いたい相手の存在が必要だ。

また、為替予約を行った金額と実際の取引で得られる外貨との多寡につい
ては、どちらに転んでも為替リスクとして残ってしまう。長期的な円高傾
向が続くならば、過去に為替予約していた金額もやがては使い切ってしま
い、その切り替え時に円高への対応を迫られることになる。

なので、為替リスクの回避手段として一番良いのは、それぞれの外貨で収
入と支出額をバランスさせることだが、現地調達や現地化を100%進めて
も、その市場で収益を上げていけば、100%バランスさせることはできな
いし、どの企業も各市場で収益を上げていくことを望んでいるはずなので、
このバランスしきれない為替リスクへの対応が残る。

日本での事業が黒字であれば良いが、日本を開発拠点とし、海外で稼ぐ収
益構造だと、どうしても外貨の円への転換需要の方が勝るようになり、為
替リスクからは逃げられない。

そこで出てくるのが、国内の取引もドル建て決済するという発想だ。

東日本大震災でも明らかになったが、自動車メーカの生産の取引先に与え
る影響は非常に大きい。自動車メーカの生産量が減れば、業績への多大な
影響を受ける企業は、一次のみならず、二次、三次、四次と遡ってもかな
りある。

そうした一産業に大きく依存する発展過程を経てしまった日本経済を考え
ると、山内社長の国内メーカへのドル建て決済を求める考えは、一つの選
択肢としてあり得る。

ドル建て決済を拒めば、場合によっては買い手企業はコストメリットや為
替リスクを考え、海外調達を選ぶかもしれない。それでも耐え切れなくな
れば、海外への生産移転を選ぶかもしれない。

自分達が国内に留まっていても、取引先がグローバルにビジネス展開を行
うようになってくると、グローバル化への影響からは免れられない。取引
先が国内生産を維持しても、その取引先がグローバル調達を推進していれ
ば、モノの形でドル建て水準の価格のものが国内に入り、否が応でもグロー
バル競争に晒されることになる。

海外市場を収益、成長の源泉とする企業が増えており、その傾向は加速こ
そすれ、減ることは当面ないだろう。

そうすると、国内でもドル建て決済が迫られるというのは、かなり現実的
な話かもしれない。ドル建ての支払いがある企業であれば、お客様の要望
への対応のみならず、為替リスクのヘッジという観点からも積極的に取り
組むべきテーマである。

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【編集後記】

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

この円高でドル建てを求められるのは商取引だけでなく、やがては給与に
まで及ぶかもしれません。ただそうなった時には、貴社がグローバルに活
躍する企業になった証と言えますので、恐れることではなく、仕事での活
躍の場が世界に広がるなど、他の色々な楽しみを伴うことになるでしょう
(山本)

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