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【環境調達.com 第77号 2010.12.16】
孤立を怖れず、"It's unfair"と主張する

【環境調達.com 新着トピックス】

地球温暖化対策の国際的枠組みを話し合う国連気候変動枠組み条約第16回
締約国会議(COP16)は、2012年末で期限が切れる京都議定書以降の国際的
な枠組みについて結論を出さず、議論を1年間継続させることで決着した。

COP16の議論の流れを作ったものの一つに、日本の交渉団の初日の全体会
合での「日本はいかなる条件、状況においても京都議定書の枠組みでの目
標設定には応じない(Japan will not inscribe its target under the
Kyoto Protocol on any conditions or under any circumstances)」とい
う発言に象徴される日本政府代表の強い姿勢があっただろう。

COP16での日本政府代表の頑な態度に対し、世界中から批判の声が相次い
だ。「温かい人間関係の中やさしい一員(「アメリカ人と日本人」今井康夫
著)」を是とする日本人は、他者から批判を受ける事に非常に臆病だ。ま
してや自分の立場が少数派となれば尚更だ。

あるポジション(姿勢)を取ることは、どの様なポジションであろうと反
発を得る。それが正しくてもだ。多数派が常に正しいとは限らない。各国
が京都議定書を延長しようとしていたのは、地球環境を保護しようという
善意ではなく、それが自分にとって都合が良いからに過ぎない。国別で温
暖化ガス排出量の上位3位の中国、米国、インドは京都議定書の枠組みで
は温暖化ガス削減の義務を負わない。京都議定書で削減義務を負うEUが京
都議定書の延長を支持するのも善意ではなく、各国の削減義務が一時的に
でもなくなってしまえば、これまで積極的に推進してきた排出権取引市場
が一気に崩壊してしまうからだ。

2009年の温暖化ガスの排出量の構成比を見ると、中国24%、米国19%、インド
5%、ロシア5%、日本4%、EU全域13%(出典:BP Statistical Review of
World Energy 2010)となっており、中国、米国が削減義務を負わない国
際的枠組みは実効性が無いことが見て取れる。

善意とは非常にはかなく脆く頼りないもの。マクロミルが2010年7月に全
国20~59才の男女を対象に行った環境意識に関する調査(有効回答数1000
名)では、環境について「かなり意識している」「意識している」「どちら
かといえば意識している」の回答の合計は65%と2年前の調査の75%から約
10ポイント減少している。日本人の生活環境が苦しくなる、先行きが見え
なくなる中で、環境意識は低下している。自分の生活もままならない中で
地球環境に慮っている余裕はないといったところだろう。それは仕方のな
いことでなかろうか。

日本政府代表の主張は、京都議定書を継続していては、温暖化ガスの排出
量の4割超を占める中国や米国がいつまで経っても削減義務を負おうとし
ないという非常に真っ当なものである。

国際交渉の場では、数だけではなく、Fair(公正)であることが大きな力
を持つ。それでなければ、多様な価値観を持つ国々の間で話をまとめるこ
とができないからだ。

温暖化ガスの今後の国際的な枠組みの議論については、現在の所、日本政
府代表に理がある。だからこそ、たとえ少数派で世界中から非難されよう
とも、大きな声で"It's unfair"と主張しよう。我われは何も恥じる事はな
い。なぜなら、日本の現在のポジションを批判する方が、

"It's just so unfair"

だからだ。

    
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【編集後記】

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

ポジションを貫こうとすると、色々な方面から攻められます。兵糧攻めに
も合うでしょう。たとえば、「日本は環境ではFairnessを主張しているの
に、貿易自由化ではunfairな国内産業保護を続けている!」といった論調
が出てこないとは言えません。

こうした揺さぶりが外交だけでなく、各企業の日常の海外展開においても
掛けられるかもしれません。そうした攻撃、揺さぶりに対抗するには、個
々の企業レベルでも、「温かい人間関係の中やさしい一員」の立場に固執す
るのではなく、常にFairnessを意識し、自律したポジションを保つように
しておくことが肝要と考えます(山本)

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■発行者 株式会社 戦略調達 中ノ森 清訓
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■発行日 毎週木曜日+随時
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